葬儀と花〜哀悼の意を表す供花・花輪・枕花〜
人の死を弔う時に花を手向けることは、古今東西、とても自然なことです。
昔から葬儀には欠かせない花ですが、現代の葬儀では様々なルールがあります。
本記事では、送るタイミングや手配の方法、花の種類など、葬儀で花を贈るときのマナーとして気をつけたいことを紹介します。
目次
葬儀に贈る花は3種類
葬儀において使用される花は、「供花」「花輪」「枕花」の3種類あります。
まずは、一つ一つ紹介していきましょう。
①供花
故人ゆかりの方々から贈られる花です。
通夜・告別式で祭壇の脇に供物などと一緒に飾られます。
贈り主としては下記の方々が挙げられます。
・喪主
・家族や親族
・故人の友人
・故人の仕事関係で交流があった人や団体
・喪主や遺族の仕事上の繋がりがある人や団体
喪主の供花を祭壇の中央に1番近くに置き、あとは、故人に近い関係の贈り主から、祭壇中央近くから遠くへ、上から順にと配置していきます。
遠方である等、諸事情で参列できない場合も供花を贈る場合があります。
②花輪
花輪も供花の一つで、故人ゆかりの方々から贈られる花ですが、生花ではなく造花で作られています。
通夜・告別式で葬儀会場の外に設置されます。
贈り主も供花と同じですが、割と団体で贈られることが多いようです。
・喪主
・家族や親族「子一同」「孫一同」など
・故人の友人
・故人の仕事関係で交流があった人や団体
・喪主や遺族の仕事上の繋がりがある人や団体
故人に近い関係の贈り主から順に、会場入り口近くから遠くへと配置していきます。
花輪は近年では、あまり飾らられなってきました。
③枕花
枕花は「まくらばな」と読みますが、こちらは葬儀での花ではなく、臨終後からお通夜の前までに、故人の枕もとに供えられるお花です。
あまり派手なものではない花を選び、小さな花かごで贈るとされています。
ただし、すぐに臨終を知ったからといって、当日などあまり早くに枕花を贈ると「待ってました!」という印象になりかねないので、少し間を置いてから贈る方が良しとされています。
贈り主としては、臨終の知らせが早く行く方、かなり故人に近い間柄の方になります。
・親友
・となり近所の方
・故人と毎日過ごしていた会社の上司や同僚
枕花は葬儀での供花とは異なり、名札も小さく控えめなため、あくまでも個人的に贈る方が多いです。
例えば、故人が会社の先輩だった場合に、会社から供花を贈るのとは別に、個人的に枕花を贈るなどです。
葬儀の花の相場
ところで、それぞれお供えする花がどのくらいの予算がかかるのでしょうか。
贈る花である、供花、花輪、枕花は、基本的に贈り主の負担ですが、
喪主や家族が出す供花は、葬儀社が手配するので葬儀費用に組み込まれていることが多いです。
「供花」の相場
10,000円〜30,000円
供花はスタンド式になっていてい、1基と2基と数えます。
祭壇を挟んで左右対称に2基で贈る場合もありますが、最近では会場の広さ等の問題もあり、1基で贈る場合が多いです。
2基贈る場合は、費用は2倍となります。
「花輪」の相場
15,000円〜20,000円
葬儀用花輪も1基と2基と数えます。
室内用の供花とは違い、花輪は1基のみ贈ります。
花輪の場合、設置を禁止している会場もあるので必ず会場に電話を入れて確認しましょう。
「枕花」の相場
5,000円〜20,000円
故人との関係性、年齢や立場などで、
どのくらいの予算の枕花をにするかは決めます。
哀悼の意を表すものなので、華美なものは控えるのがマナーとされています。
供花の手配の仕方
喪主や遺族がお供えする供花や花輪は、葬儀の準備と同時に葬儀社が手配、
親族や仕事関係、遠方で参列できないなどの場合は自分で手配します。
供花、花輪は葬儀社に頼むのが確実!
供花は生花、花輪は造花です。
生花は花屋さんやネットでの注文もありますが、その葬儀の担当葬儀社に依頼するのが一番確実です。
葬儀の会場の広さ等の都合で花に制限があったり、遺族が供花や花輪を辞退していることがあります。
まず、事情に詳しい葬儀社に聞いてみましょう。
枕花を自宅に送る場合、葬儀場に送る場合
枕花は近親者が個人でお供えすることが多く、臨終の知らせを受けたらすぐ送るため、地元の花屋で注文するケースが多く見受けられます。
遠方からの場合は、地元の業者に直接頼むのもなかなか難しいので、花のギフト専門サイトでの注文が便利です。
枕花は、ご遺体を安置している場所に送ります。
自宅の場合は、送ったり、弔問時に持参したりしますが、その時には以下のことを注意しましょう。
・住宅事情があるので、極端に大きいものは避ける。
・哀悼の意を表す花ですので、華美なものは避ける。
・弔問は短時間にする。
葬儀社の安置室や葬儀会場で花は預かれない場合、特定の花屋からしか受け付けないなどの制限があることがあります。
ネットで供花を手配する場合
近年、葬儀関連の手配もネットで行うことも増えてきました。
供花もウェブサイトで注文可能です。
主にお花のギフト専門のサイトで、取り扱っていますので簡単に注文が可能です。
どんなお花かも値段も一目瞭然で初めてでも気軽に注文できるのがメリットですが、逆に、簡単にたのめてしまうため、その葬儀にちゃんとあったお花なのか気をつけないといけません。
葬儀の花を贈る際に注意すること
葬儀社に全てお任せの場合は注意することはほぼないですが、自分で手配する場合は細々とした注意が必要です。
とにかく、花を送る前に必ず葬儀社に確認をしましょう。
どの宗教の葬儀か注意
お花は葬儀がどの宗教の葬儀なのかで、花の種類やお供えの仕方が異なります。
・仏式の葬儀
日本では一番多い仏式の葬儀でも、宗派によってお花の扱いが異なる場合もあります。
生花を供えることが多いですが、造花でもよしとされています。
花の種類:菊、ゆり、胡蝶蘭、カーネションなど(故人の好きな花でも可)
花の色:白を基調とし、黄、ピンク、紫も入れることも
・神式
神式の葬儀の花は、仏式とそれほど差はありません。
花の種類:菊、ゆり、胡蝶蘭、カーネション、季節の花なども入れる場合も
花の色:白を基調とし、黄、ピンク、紫、割と淡い色のもの
・キリスト教式
キリスト教式の葬儀でお花を飾る際は、名札はつけません。
そして、造花は不可とされています。
花の種類:ゆり、胡蝶蘭、カーネション、スプレー菊など
花の色:基本的には白
供花の重複に注意
ご不幸は急なことなので、供花の手配が重複してしまうことがあります。
届いてみたら、同じ名札が複数!なんてことも。
特に共同の場合などでは関係者同士連絡を取って、供花が複数とならないようにしましょう。
家族葬などの場合、供花を辞退することも
遺族の意向や、会場の都合で、供花や供物などを遺族側が辞退する場合があります。
密葬や家族葬など、いわゆる小さなお葬式ではよくあることなので、花を贈る前に遺族の意向を確認しましょう。
遺族に直接聞ければその方が確実ですが、それが叶わない時は、担当の葬儀社に連絡して「お花を贈っても良いでしょうか?送り先はどちらが良いですか?」と、聞いてみましょう。
お花を贈っていただいた方への返礼
最後に「供花をいただいた方への返礼」についてです。
こちらに関しては、地域や状況などで、まちまちなところがあります。
供花のみ贈られるケースは遠方や参列ができない方がほとんどです。
実際には、参列もし、香典も出す方が多いので、
供花の返礼は、香典返しに上乗せすることが一般的です。
供花のみの場合
まず、親族から供花には返礼は必要ありません。
また、同級生や会社などの複数人の共同の供花や花輪にもお礼はいりませんが、
後日(できれば1週間以内)、電話やメールでお礼をしましょう。
ただし、個人で供花を送っていただいた場合、例えば1万円の供花ならお礼状とともに、5000円程度の品をお返しをすると良いでしょう。