家族葬は本当に安く済むのか〜葬儀費用の実態〜
「俺の葬儀には金をかけるな」と亡き父が遺言を残したので、父の葬儀はお金をかけない家族葬にします。
こんな話をたまに耳にします。
ちょっとまった!
少人数のお葬式ほど葬儀費用がかからないと私達は当然のように感じますが、
本当に家族葬は費用をかけずに済むのでしょうか。
こちらのコラムでは、家族葬の費用の実態について探っていこうと思います。
目次
首都圏で100万円前後!家族葬の相場
葬儀の費用って普通はいくらぐらいかかるのでしょうか。
まずは、日本の葬儀費用の相場について見てみましょう。
もちろん、葬儀スタイルによって費用も全く違ってくるのではっきりと相場をお伝えするのは難しいですが、
葬祭費に接待費用、はっきりしないお布施や戒名なども全て合わせて、
・一般葬 190万円
・家族葬 100万円
このぐらいを考慮しておくと良いとされています。(首都圏の場合)
当然、人それぞれ異なってくる葬儀ですし、状況によって、増額したり減額したりします。
しかし、家族葬でも軽く100万とは。。。
正直、急にこんな大金を用意するなんて・・・無理!
というご家庭も多いですよね。
なぜ葬儀にお金がかかるのか
なぜ、葬儀費用ってこんな高いのでしょうか。
物価が高そうなアメリカやイギリスでも葬儀費用は80万〜90万円。
世界的にみても日本の葬儀費用は高額です。
葬儀費用が高額になる理由
① 2日間に渡って行われる
② 会場代や祭壇に費用がかかる
③ 戒名・お布施代
④ 食事代が遺族が出す
具体的な理由は上記のことですが、
根本的には、空気を読み周りに合わせる国民性や「おもてなし」の価値観などが関係しているのではないかと思います。
家族葬でも思ったより費用がかかる
ここで、もっと家族葬にフォーカスしてみましょう。
遺族の労力と費用の負担が軽減できるということで、増加中の家族葬。
しかし、実際に家族葬を終え「いいお葬式だったね」と内容的には満足でも、請求書を見てびっくり!
「うそ!こんなに葬儀費用払うの?!」
こんな話もよく耳にします。
家族葬は数人〜30人程度の参列者で執り行う葬儀です。
しかし、人数を減らすことが、費用の負担軽減には思ったよりも効果を発揮しないのです。
では、どんな家族葬なら費用が抑えられるのでしょうか。
そもそも一般葬と家族葬何が違うの?
ではどんな家族葬が「普通」なのか・・・
実のところ、各葬儀社の間ではっきりとした家族葬の定義はありません。
今現在、家族葬の考え方で葬儀社で共通していることは、こちらの2点。
1.参列者が少人数(30人程度まで)
2.通夜→葬儀・告別式は執り行う
ちなみに一般葬は
1.参列者が多い(30人以上)
2.通夜→葬儀・告別式は執り行う
なんと!一般葬との、明確な違いは参列者の人数だけ!
そもそも、儀式を行わないで火葬をする「直葬」とは違い、
一般葬と同様な通夜と葬儀を執り行えば、葬祭費やお布施などは普通に費用としてかかってくるのは当然です。
家族葬の費用の内訳
さて、首都圏で100万円ほどかかると言われている家族葬費用ですが、
内訳はどうなっているのでしょうか。
一口に葬儀費用と言っても、費用全体を大きくわけて3つに分けられます。
これは一般葬も家族葬も同じです。
もう少し具体的にみてみましょう。
家族葬(30名)の場合
数名〜30名までの葬儀を家族葬とするので、
親族15名 故人の友人15人 会葬者合計30人のケースで見ていきましょう。
最低限必要な費用
人が病院で亡くなった時に必要となる費用です。これらは予算を削ることはなく、葬儀を行わないスタイル「直葬」でも必ずかかってくる費用です。
・遺体搬送費用・棺・防腐処理(ドライアイス)・火葬費用・骨壺など
家族葬 30人 費用の一例
基本料:132,000円
霊柩車:18,370円
火葬料:0〜80,000円(自治体による)
葬儀など故人を偲ぶ費用
参列者が故人をお見送りするために必要な費用です。
主に葬送儀礼(葬儀)で使用します。
・祭壇・花・御供物・お線香・お坊さんにかかる費用など
家族葬 30人 費用の一例
家族葬プラン(会場費込み、火葬料・霊柩車含まない):418,000円
お坊さんへのお布施&戒名:100,000円〜
おもてなしの費用
葬儀に参列された方へのおもてなしの費用です。
食事やお酒を振舞うことは日本では昔から定着したおもてなしのスタイルです。葬儀だけでなく、お祝い事でも当然のように行われています。
・通夜ぶるまい・精進落とし・返礼品など
家族葬 30人 費用の一例
弁当+飲み物 1名3000円として:90,000円
会葬御礼品:30,000円
香典返し:100,000円〜
上記で紹介した一例は、葬儀社である程度セットになっている金額になっています。
明細をだすともっとたくさんの項目がありますが、
これらを合計すると100万円前後になります。
この中でも、特におもてなしの費用は、
参列者の人数によって変動しやすく、費用の嵩む原因になりがちです。
故人ゆかりの人々が多数参列する一般葬に比べて、
家族葬はある程度参列者を制限することで、多めに注文しておいたり、急に追加で注文することになることを防げます。
家族葬は安上がりではない
人数で変動しない費用の「最低限必要な費用」と「偲ぶ費用」は
一般葬でも家族葬でも、ほとんど費用の差がありません。
葬送儀礼を執り行う以上これらの費用は、安く見積もっても60万円ほどはかかります。
更に、以下の理由も加わって、
家族葬は想像より安上がりにはならないのです。
① 家族葬は香典が少ない
参列者が少なく、食事代などは一般葬より安い費用で執り行える家族葬ですが、その代わり、お香典も少なくなります。
多数の参列者が訪れる一般葬はお香典が70万円以上になることはよくあり、
これだけまとまった金額であれば遺族側の費用負担の助けになります。
② お清めのお食事
一般葬ではお通夜に参列した仕事関係や昔の友人は、それほど長居もせずお帰りになるので、お清めの食事も一人1セットなく、大皿でつまむ程度を用意します。
家族葬はお通夜でもゆっくり故人を偲ぶので、お清めの食事もしっかり用意し、アルコールも多めに用意します。
結局、参列者は少ないのにお食事代が一般葬よりかかってしまう場合も・・・
そんなこんなで、お香典で補填した結果「参列者は少ないのに家族葬の方が遺族負担の金額が多くなってしまった」なんてことも起こり得るのです。
家族葬のメリットは費用よりも、心の負担の軽減にあり
つい費用面でのメリットに重きを置いてしまう家族葬ですが、実は、それ以上のメリットがあります。
それは、故人とのお別れを身近な人とゆっくりと過ごせることです。
大人数の参列者への挨拶は喪主も遺族も疲れ果ててしまうことも多く、家族葬にすることでその心の負担を軽くできます。
このことは、お見送りする上で掛け替えのないものでもあります。
家族葬をもっと安くするには
とはいえ、やはり、金銭的に厳しいご家庭もあるのは事実。
綺麗事を言っている場合ではないというご遺族も多いものです。
でも、お困りのみなさん大丈夫です!
工夫次第で葬儀費用を抑えることができます。
葬儀費用を節約する方法
1.自宅葬にする
会場費が節約できます。部屋を片付けるなどの手間がかかります。
2.葬儀社のホールや公営斎場を借りる
こちらも同様に会場費の節約になります。
祭壇が常設されていれば祭壇の費用もカットできます。
使用料が無料のところもあります。
3.お通夜・葬儀で会食をしない
あえて会食なしを通知して、お茶とお菓子程度にするのも可能です。
4.無宗教葬を選択する
お布施(戒名代)がかかりません。しかし、儀式的な要素を持たせるのは難しくなり、別に司会や進行を誰かにお願いすることもあります。
5.葬祭費の補助金や給付制度、お見舞い金などを利用する
市民が死亡した際に、自治体から葬祭費の補助が受けられたり、
会社でお見舞い金が出るところもあるので、何かの機会に調べておくと安心です。
6.何社かの葬儀社で見積もりをとり比較してみる
葬儀内容で妥協したくない方はこちらがおすすめです。
臨終後に何社もの相見積もりをとるのも大変なので、前もって相談しておくのがベストです。
葬儀費用で後悔しないために事前見積もりを!
葬儀とはどうしてもお金はかかってしまうものですが、
様々な方法で、納得のいく内容の葬儀を納得のいく価格で行えます。
「私の葬儀にはお金をかけて欲しくないな」という方は特に、葬儀社への生前相談に行ってみてください。
まだ体の具合も悪くないのに、事前に葬儀費用の見積もりまでとるなんて・・・。
と、考えがちですが、お金をかけず、でも内容も良いお葬式を目指すなら、葬儀社との事前相談は欠かせません。